(アバンタイトル) 「変んんっ・・・・・・身っっ!!」 早苗が変身ポーズをとると同時にベルトから光がほとばしり、その身体を包んだ。 「おいおいおい!何やってんだー!?」 魔理沙は早苗を指差して叫ぶ。 「マジかよ・・・」 ディケイドも宙を仰ぐ。 ベルトからの光は再びベルトへと収束してゆき、光が収まったとき―――そこには青いボディの「仮面ライダー」が立っていた。 マスクの造型や体のラインなどは、星をモチーフにしているようだった。 「とぅあ!」 早苗ライダーはジャンプして空中で一回転、博麗神社の屋根に着地してポーズをとると、 「仮面ライダー・・・ステッラ(星)!!」 とめちゃくちゃ力の入った声で名乗りを上げた。 「・・・・・・」 魔理沙は口をあんぐりとさせて声もない。 「この世界にもライダーがいたのか」 ディケイドは魔理沙に訊ねた。魔理沙は首をふるふると振って、 「いやいやいや、自称現人神だけどただの巫女のはずだぜ・・・・」 とつぶやくように言った。「何やってるんだあの神社・・・」 「やってて恥ずかしくないか?」 とディケイドが早苗ライダー・・・「仮面ライダーステッラ」に声をかけた。 「仮面ライダーっていうのはこういうものです!」 早苗ライダーは一片の躊躇も一片の羞恥心もなく反論する。 「まあ、昔のはそうかもしれんが・・・」 ディケイドは仮面ライダーブラック&ブラックRXを思い出しながら言った。 「いきますよ、ディケイドさん!」 早苗ライダーが屋根を蹴り、ディケイドめがけ飛び蹴りをかけた。 (OP) |
「いきますよ!ディケイドさん!」 早苗ライダーが屋根を蹴り、ディケイドめがけ飛び蹴りをかける。 「やれやれ」 ディケイドは身構えてこちらもジャンプ、脚を伸ばしてキックの体勢となり、二人は空中で激突した。 激しい音とともに二人は互いにはじかれ、早苗ライダーはまた屋根の上へ、ディケイドは地面へと着地する。 「これがライダーのキックの感触・・・」 見ると、早苗ライダーはじいんと感傷に浸っていた。 「・・・撃ち落としていいか?」 とディケイドは魔理沙に訊く。 「ぜひやってくれ」 と魔理沙。 「了解」 ディケイドはライドブッカーをガンモードにすると早苗ライダーを撃った。 「きゃあ!」 直撃を食らった早苗ライダーはひっくり返り、拝殿の屋根をごろごろと転がって地上に転落する。 それを見た魔理沙はげらげら笑った。 「ひ、ひどいです!不意打ちなんて!」 起き上がった早苗ライダーが文句を言ったが、ディケイドは悪びれることなく、 「そっちが勝手に油断したんだろうが」 早苗ライダーは正論を言われてちょっと怯んだが、 「い、いいじゃないですか、初めての変身なんですし!」 と言い訳を言った。 「おまえ、おれが敵だったら死んでたかも知れんぞ。もっとまじめにやれ」 「わ、わかりました!」 早苗ライダーは起き上がって、「本気で行きます!」 そしてベルトのバックル前面を押した。するとバックル側面から青いカードがスライドして飛び出してくる。早苗ライダーはそれを抜き取ると右脚のソケットに挿入、そして再びバックル前面を叩いた。 “スパークリング!” するとベルトから音声が発せられ、ベルトがまばゆく輝く。その光が次々に早苗ライダーの右脚に収束していった。 「とぅあ!」 早苗が飛び上がる。「いきます、ライダーキック!」 「やれやれ」 ディケイドはライドブッカーを収めるとカードを抜き、バックルに放り込んだ。 “ファイナルアタックライド・・・ディディディディケーイド!” ディケイドの目の前から早苗の方に何枚ものカード形の光の壁が出現する。ディケイドもジャンプ、二人は空中でキック体勢に入った。 ガカッ!! 「うわっ!?」 二人のキックが激突した。凄まじい衝撃波が起こり、魔理沙がひっくり返る。博麗神社もぶるぶると震動し、鈴がガラガラと大きく音を立てた。 その反動で二人の変身が解け、互いに地上に落下する。士はちゃんと着地したが、早苗は受身は取ったものの地上にひっくり返った。幻想郷テクノロジーの最先端試作品とはいえ、さすがにカードをコンプリートしたディケイドのディメンションキックには押し負ける。 「まだやるか?」 と士。早苗は起き上がって、 「いえ、もう充分です!」 バックルとカードをしまい、祓串を拾い上げると、ぺこりと一礼した。 「いきなり襲いかかってすみませんでした。人からなんと言われようと、自分で確かめたかったものですから」 「そ、そうか」 今までの荒っぽさが嘘のような丁寧な仕草に、士は思わず口ごもってしまった。「それで、おれはどうなんだ?」 「少なくとも、私たちの世界を破壊するような方ではない、そう思いました」 早苗はにこりとして言った。「私は、私の判断を信じます」 「それは助かる。で、おまえの名前は?」 「あなたは何とおっしゃるのですか?」 「門矢士だ」 「東風谷早苗です。よろしくお願いします」 「士くーん」 夏海の声が飛んできた。「この子どうしましょう」 彼女は、まだ気絶している金髪ツインテールのセーラー服の少女を抱きかかえていた。 「あいつをたっぷりと絞り上げなきゃいけないな」 と魔理沙。「霊夢を襲ってくるなんざ、ろくな用事じゃないだろうし」 そしてヤマメを見下ろして、 「こいつを(建物の)上に上げたら霊夢怒るかもなあ。日陰に置いといて話聞くか」 一同は社務所へと向かった。 「しかし、どういうところでおれが信頼できると思ったんだ?」 と士が早苗に訊く。 早苗は微笑んで、 「“ライダーはキックで語り合う”んです。あの時お互いにジャンプしてライダーキックを交わした時、ビビッと体に直感が走ったんです!」 士はその理論(島本理論)に呆れ返り、魔理沙に小声で、 「おい、コイツ大丈夫なのか?」 と訊いた。 魔理沙は笑って、 「最近はずいぶんと常識に囚われなくなってきたからなあ。もうダメかもな」 「何か言いましたか?」 「いや、こっちの話だ。ま、信用してくれたのなら感謝する」 「はい。頑張りましょう!」 「何をだ・・・」 |
「いやあ、なんか同類っぽいのが来たから嬉しくなって話しかけたらつかまっちゃって眠らされて、それからの記憶がないんだよね」 とヤマメは魔理沙に言った。 目覚めたヤマメはすっかりいつもの調子で、戸惑いながらも魔理沙にいきさつを話して聞かせていた。ディケイドの拳骨で正気に戻ったようだ。 「洗脳されてたのか」 と士。「霊夢は、謎の船が出現してから妖怪たちが姿を消しているって言ってたが、それのようだな」 夏海、 「そいつらはオルフェノクやグロンギを・・・士くん、やっぱり」 「ああ、大ショッカーの仕業か。しかしなんでまたこの世界に」 早苗を見て、 「この世界にライダーシステムができてしまったから、か・・・?」 「ライダーシステムが・・・まあ試作品ですけど、できたのはつい今日のことです」 と早苗。「ですから、それとは別だと思いますよ」 「できてすぐにここへ来たのか!」 「はい」 「そんな物よく使おうと思ったな」 「ライダーベルトですよ!?そんなもの手に入れたら一刻も早く変身したいじゃないですか」 「・・・・・・・・」 士は言葉もなかった。この女、マニアックだ。どうやらこの世界には一般的な人間はいそうにない・・・ 「こいつは最近外の世界から来たからな。いろいろ変な知識も持ってるぜ」 と魔理沙。 「その“外の世界”にはライダーはいるのか?」 と士が訊くと、 「はい。でもTVの中の架空の存在ですから・・・だから実際にライダーを見ることができて幸せなんです!」 早苗の瞳がきらきらと光っている。 「それに、大ショッカーではありませんけど、ショッカーという組織もそれに出てきますよ」 「架空の存在・・・それでも仮面ライダーは存在する世界なのか」 「その大ショッカーが敵なんですか?」 「まあ・・・そんなところだ」 「では、今幻想郷を脅かしているのも大ショッカー・・・燃えてきました!」 「勝手に燃えてろ。燃え尽きない程度にな」 「あーうー・・・」 「で、そっちはどうだ」 「なかなか目を覚まさないですね」 と夏海。 「仕方ないな。あれをやれ」 と士。 夏海は顔をしかめて、 「えっ、寝てる人にやったことないですよ。無抵抗の人にやったらどんなことになるか」 しかし士は、 「かまわん。やれ」 と某DIO様のごとき冷酷さで言い放った。 「・・・まあ、死にはしないでしょうけど」 夏海はしぶしぶ士の言葉に従った。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は、ははは、あははははははっははは・・・!!」 数秒後、なおも気絶していた少女は「笑いのツボ」を突かれて笑い転げ始めた。 |
「・・・私の名前は北嵯峨ちゆりだ」 名前を問われた少女は素直に答えた。「平行世界から“可能性空間移動船”でやってきた」 「大ショッカーの手先なのか?」 と士が問うと、ちゆりはうなずいた。 「・・・そういうことだぜ」 「はっきりしない答えだな」 「もともとはそうじゃないからだ。こんなこと・・・私も本当はやりたくはない」 「じゃあ、なぜやってる?」 「教授が・・・」 ちゆりはそこまで言ってしばし口をつぐんだ。「教授がやつらに協力してしまっているからだ」 「教授?」 「まあ、今は学会を追放されてるから正確には教授じゃないが・・・岡本夢美という名前だ。私はその助手」 「その岡本ナントカ教授が大ショッカーの怪人を引き連れてここに攻め入ってきたというわけか。で、なぜここ・・・幻想郷に?」 「以前にもここにやってきて、博麗霊夢や霧雨魔理沙らに敗れたことがある。それの意趣返しということもあるが、ここを征服し、妖怪たちを捕らえて大ショッカーの手先とするのが主な目的だ」 「はあ?」 魔理沙が首をかしげた。「何を言ってるんだ?私はお前たちなんて知らないぜ」 ちゆりは魔理沙を見て、「誰だおまえ?」 「霧雨魔理沙だ」 「はあ?」 今度はちゆりが眉をひそめる。「嘘をつけ。霧雨魔理沙は紫の衣を着て、“うふ、うふ、うふふふ・・・”とか言うちょっと危なめの魔法使いのはずだぜ」 「誰がそんなことするか!」 魔理沙がむっとする。「だいたいそんなのが幻想郷に来た事なんかない。別の世界と間違えたんじゃないのか?」 「むう・・・」 ちゆりは口をつぐんで、「まあ、平行世界はいくつもあるから、それを間違えたのかもしれないが」 「迷惑な話だぜ」 魔理沙はため息をついて、「しかし、私と同じような言葉遣いするんだなおまえ」 ちゆり、 「そっちこそ私と同じような言葉遣いするんだな」 「~~~~」「~~~~~」 「下らんことで張り合うな」 と士。「その教授は今どこにいる」 「・・・・今頃は湖のほとりの吸血鬼の館を攻めているはずだぜ」 「あ、来る途中で見た湖のことですかね」 と夏海。 「あそこを攻めてるのか?」 魔理沙はニヤニヤしながら、「あそこはなかなか手ごわいかもな」 「ライダーとくればクモの怪人にコウモリの怪人。お約束どおりですね!」 と早苗。 「おまえはだまってろ」 と士。 「あーうー」 「お願いだ!」 ちゆりは士に頭を下げた。「仮面ライダーは大ショッカーの宿敵と聞いている。大ショッカーを倒して、教授の目を覚まさせてくれ!」 「・・・・・・お賽銭だ」 「へ?」 「ここは神社だ。神社でのお願い事にはお賽銭、いや違ったか・・・何だっけ」 「初穂料とか祈願料です」 と早苗。士はうなずいて、 「そう、それが必要だ」 「・・・・・わかったぜ」 ちゆりは財布を取り出した。「とほほ」 紅魔館門前。 ドン! バーナクルオルフェノクが虹色の閃光とともに灰になって崩れ落ちる。 「さあ、お次はどいつだ!」 紅美鈴がふっと息を吐いて再び構えを取った。 「ちっ・・・・・・」 怪人たちに囲まれた、赤い衣に身をまとう娘――岡本夢美は舌打ちした。 (吸血鬼だから昼間はノーマークかと思っていたけれど・・・誤算だったわね) 「なかなかやるわね。今度は手強いのを連れてきてあげるわ」 夢美はちらりと笑って美鈴に手を振って見せた。 「逃げるか!」 美鈴が叫ぶ。「そうはさせないぞ!」 「えらく気合が入っているのね」 夢美は笑って、「ちょっと頭を冷やしなさい」 右手を上げる。すると、眩く輝く十字型の光がいくつも出現した。 「食らいなさい」 それらが一斉に美鈴に襲いかかる。 「くっ・・・!」 美鈴はそれらを弾き飛ばそうとしたが、すべてを同時に叩き落とすことはできず、そのうちのひとつが美鈴に命中した。 ドカッ! 美鈴は門壁に叩きつけられる。 「う・・・くそ・・・っ・・・」 「それじゃ」 振り向いた夢美の前に、 「あなたが黒幕かしら?」 博麗霊夢が立っていた。 「あなたは・・・?」 夢美が訊ねる。「その巫女姿・・・博麗霊夢か!」 「よくわかったわね」 霊夢は眉をひそめた。夢美はにやりとして、 「少し成長していたからすぐにわからなかったぞ。久しぶりだな」 「久しぶり?」 霊夢は首をかしげた。「誰よあんた」 夢美はがくっとなって、 「はあ!?」 と素っ頓狂な声を上げた。「待ちなさいよ、忘れたなんてことないでしょう!」 「いや、本当に覚えがないんだけど」 「・・・岡本夢美よ!前にこの幻想郷へやってきたでしょう!?」 「岡本・・・夢美?いや、ほんとにわからないから。何しに来たの?」 「~~~とぼけるのか。ならば素直にしてやる!」 夢美の周囲にいた怪人たちがどっと霊夢に飛びかかる。 霊夢は慌てることなく、 「“警醒陣!”」 同時に霊夢の前方に畳、じゃない結界が出現し、怪人たちを弾き飛ばした。 怪人たちは起き上がると再び霊夢に向かっていったが、突如その足元の地面が炸裂し、怪人たちは立ち止まって動かなくなる。 見ると、その足元にお札があり、怪人たちはそれに吸いつけられて身動きが取れなくなっていた。霊夢の特殊技「常置陣」だ。 次の瞬間霊夢の姿が消えると、一瞬のちにぱっと怪人たちのただ中に出現、するや身を翻して、 「“八方鬼縛陣”!」 周囲に巨大な結界を張った。 怪人たちは断末魔の叫び声を上げながら結界に飲み込まれていった。 「・・・・・・次はあんたの番よ」 霊夢は夢美を睨んだ。 「さすが・・・昔よりも強くなってるわね」 夢美は思わず一歩後ずさって言った。 「だーかーら、あんたなんて知らんちゅーに。別の世界の巫女と間違えてるんじゃないの?」 霊夢は祓串を夢美に突きつけつつ、「人違いよ。わかったらあんたの世界に帰りなさい。さもなきゃ、ただじゃすまないわよ」 夢美はちょっと顔を背けて、小声で、 「あー・・・平行世界間違えたかもー」 「理解した?」 「・・・・・・・でも」 夢美は笑った。「もう遅いわ。この世界はもうすぐ私が制圧する」 「何ですって?」 「私を理解せずに放逐した学会のやつらに復讐し征服するため、まずこの幻想郷を制圧してその尖兵とする。世界が違おうが同じ幻想郷。以前受けた屈辱も雪がせてもらうわ」 「無茶苦茶じゃない!」 「無理が通れば道理が引っ込む。道理など必要ない。私の科学がすべてを解決する。私の科学に敵はない。儚い幻想など粉々に打ち砕いてやるわ・・・あなたもよ霊夢」 「あー、こいつ開き直った」 「見なさい!私の科学力を!」 ゴゴゴゴゴ・・・・・・・ 頭上から轟音が聞こえ、振り向いた霊夢は、巨大な戦艦が人間の里の上空に浮かんでいるのを見た。 「な・・・・」 「間もなくあの里も制圧されることでしょうね」 「くっ・・・」 そちらへ行きかけた霊夢の上から突如ミサイルが降り注ぐ。 「きゃあっ!」 一瞬気がはやって不意を突かれた霊夢がその爆風に吹き飛ばされ、霧の湖にざぶん、と落下した。 それを追って上空から両肩にミサイルをしょったメイド型のロボットが急降下し、ばしゃっと着水すると水の中から霊夢を引き出し、胸倉を掴んで高く吊り上げた。 「ぐっ・・・しま・・・っ・・」 「くすくす」 夢美が笑う。「私の最高傑作“ミミる~こと”よ。大ショッカーの醜い怪人などとは比べ物にならない。さあ霊夢、私のしもべになるか、それともここで塵になるか、選びなさい」 「う・・・・う・・・っ・・・」 霊夢は苦悶の表情で夢美を見つめた。 |
その少し前。 「やあユウスケくん、お帰り」 光写真館に戻ってきたユウスケを光栄次郎が迎えた。「おやどうした。額にたんこぶが」 「話が難しすぎてちょっと居眠りしたら、慧音先生に頭突きを食らって・・・」 ユウスケは額をさすった。「あ痛たたた・・・」 「あーらユウスケ、大丈夫?」 キバーラがその周囲を飛び回りながら言った。 「な、なんとか・・・」 栄次郎がユウスケに訊く。 「この世界のことはわかったかい?」 「は、はい。ここは外の世界とは隔離された土地で、外の世界で忘れ去られた人や物が流れ着くところみたいです。人間だけでなく妖怪もたくさん住んでいて、その両者が均衡を保ちつつ生活しているそうです。ちょっと『キバの世界』に似ていますね」 「あ~ら、そうなんだ」 とキバーラ。「お友達がいるかもしれないわね」 「何でも、ここから北に行ったところに湖があって、そこにある館には吸血鬼が住んでいるそうだよ」 「まあ!親戚かしら」 「そこまではわからないけど」 「行ってみたいわ。ねえユウスケ、一緒に行こ~?」 「あそこには恐ろしい悪魔が住んでいますよ?」 その時、奥のほうから声がして一人の少女が歩いてきた。白いワイシャツに黒いリボン、黒いミニスカートを着け、足には一本足の高下駄状の赤い靴。そして頭には紅い兜巾を乗せている。 「だ、誰?」 ユウスケが訊くと、 「射命丸文さんといって、天狗の新聞記者だそうだ」 と栄次郎が答えた。 「て、天狗?」 ユウスケは文をまじまじと見て、「天狗・・・?」 「あやや、あんまり見つめないで下さい、照れるじゃないですか」 文は苦笑して、「まあ、天狗にもいろいろいるということで。人間の里に写真館ができたということで、ちょっと取材にうかがったというわけです」 「彼女の作った新聞を読ませてもらったが、なかなか面白いよ。ユウスケくんも読むかい」 栄次郎がユウスケに手にしている新聞を渡す。 「は、はあ」 ユウスケがそれを手に取ったとき、外のほうで轟音がした。写真館が大きく揺れる。 「うわっ!」「ひええ」「おっとっと」「何なの?」 ユウスケが外に飛び出したとき、上空には巨大な空飛ぶ戦艦が浮かんでおり、そして目の前には、 「ん?お前は小野寺ユウスケではないか」 なんと、イタミ・・・もとい、ガイが怪人や妖怪たちを引き連れて立っていた。 「大ショッカーか!」 ユウスケは身構える。「おまえたちがなぜここに!」 「この幻想郷を大ショッカーの支配下に置き、妖怪や人間どもをわれらが尖兵とするのだ」 とガイ。「これからこの里を制圧する」 「させるか!」 ユウスケはばっと両手を腹の前に構え、体内からアークルを出現させた。そして左手を左腰に当て、左斜め前に突き出した右手を正面へとスライドし―― 「変身!」 叫んで右手を左腰の左手に一瞬添え、ばっと両腕を開いた。瞬間、ユウスケが仮面ライダークウガに変身する。 「独りで何ができるというのだ」 ガイは両腕を後ろ手に組んで胸を反らせ、 「アポロチェンジ!」 アポロガイストに変身した。「返り討ちにしてやるのだ」 同時に怪人・妖怪たちが一斉にクウガに襲いかかる。 「うおおお!」 クウガはそのさなかに突っ込んでいった。 (後編Aパート終わり、CM) |