東方ディケイド


 

(前編Bパート始まり)


 士と夏海はようやく拝殿前鳥居へとたどり着いた。
 「やっと着いた・・・なんだこの遠回りの道は!」
 士は思わず不平を言った。
 あれから石段を登ると森の中を抜ける参道になっていたが、それが長かった。山の西側からの石段を登ってきたのだが、参道は山の東側へとぐるり周ってのびており、二人は山を半周してからまた石段を登ってくる羽目になっていた。
 「神社はたいてい南向きか東向きっておじいちゃんから聞いたことがあります」
 と夏海。「やっぱり太陽にあたる方角を向いてるんでしょうか」
 「ヒマワリじゃあるまいし、どっち向いてたっていいだろう、まったく」
 「神職さんがそんなこと言ってちゃだめですよ」
 「ちっ・・・」

*うんちく*
夏みかんの言うとおり、たいていの神社の社殿は少々無理してでも東向きや南向きに建てられている。
だが、たとえば出雲の出雲大社は、本殿は南向きに立っているが、その中の神座はなぜか西向きになっている。
奈良の大神(おおみわ)神社は、山が御神体であるため本殿はないが、山の西麓に立つ拝殿は西向きである。
その摂社もそれにならって西向き。これは大和盆地を見下ろす格好になる。
(あと、大神神社はその顕現の姿が蛇体といわれ、また酒の神でもあるため、参拝者はワンカップや卵をお供えしていく)
大阪の住吉大社は、現在は河川の土砂の堆積や埋め立てなどのためまったくの内陸部になっているが、
その昔は波打ち寄せる海辺であり、出航する船を見送り、また帰ってくる船を迎えるかのように、
社殿は海の方向、西向きに立っている。
また、後醍醐天皇を祀る吉野の吉野神宮は、かなり異例なことに北向きに立っている。
これは、京を奪回することかなわず吉野で無念の崩御を遂げた後醍醐天皇の、
「玉骨は縦ひ南山(吉野)の苔に埋るとも、魂魄は常に北闕(京都)の天を望まんと欲す」
との烈々たる遺言に従い、京都の方角を向いているため。
そして茨城県の鹿島神宮も社殿が北向きだが、これは武神である武甕槌神が蝦夷に睨みを利かせるようにとのためである。
博麗神社も、幻想郷の鎮守ということなら、大神神社拝殿や住吉大社のように西向きで幻想郷を見下ろす形がふさわしい。
しかし、そうなっていない。鳥居は東にあり、拝殿も東向きで、境内へも東から入るようになっている。幻想郷には背を向けた形。
これは、神社の性格が「幻想郷の外から来るものに対応する」つまり、境界神としての役割を持っているということだろうか。
さらに言うならば、「外からのものは受け入れる(あるいは拒絶する)が、中のものは出さない(巫女の判断で出すこともある)」。


 
 鳥居をくぐり、拝殿前へと進む。
 「お参りしましょう。はい士くん」
 夏海が財布から小銭を出し、士に渡す。
 「何をお願いするんだ?」
 「この旅が無事に終わって、士くんが自分の世界に戻れますようにってお願いします」
 「・・・・・・大きなお世話だ」
 士はそっぽを向いたが、夏海に合わせて参拝する。
 拝礼が終わって顔を上げると、拝殿の陰から霊夢が顔を出していて二人はびくっとした。
 「わあ!」
 夏海がのけぞる。
 「・・・何やってんだお前」
 士が首をかしげて霊夢を睨む。
 霊夢はあはははと頭をかいて、
 「お賽銭の音が聞こえたからつい・・・いらっしゃい。お茶の用意できてるから、裏へ回ってね」
 頭を引っ込めた。
 「な、なんなんですかいったい」
 「・・・どうやら、相当貧乏な神社のようだ」
 士はため息をついた。「給料は期待できないな、こりゃ」

 


博麗神社は、拝殿の裏が社務所になっていて、ひとつの建物になっていた。外の世界ではまずありえない形式である。
 二人は縁側から社務所に上がり込み、霊夢の淹れた冷たいお茶を飲み干す。
 「おいしいー」
 「ああ、生き返った」
 「どういたしまして」
 霊夢は微笑んで二人の向かいに座る。
 「で、おれにどういった仕事を?」
 と士が切り出す。
 「私の調査が終わるまで、この神社の管理をお願いしたいの」
 霊夢は言った。「他の季節ならまだしも、今は夏だから、ちょっとほっておくと境内がすぐに草ぼうぼうになってしまうから。具体的には、境内の掃除と、何か妖怪や妖精が神社にちょっかい出してきたら、コテンパンにやっつけること」
 「給料は出るのか?」
 士は言った。「さっきの様子じゃ、そうとう貧乏そうだったが」
 「大丈夫よ」
 霊夢はけろりとした表情で、「生活には困っていないわ。ただ、参拝者が少ないのが悩みの種でねえ」
 「まあ、あんな鬼が住み着いてちゃあな」
 「そう、そうなのよ。いくら頑張っても、神社に来るのは妖怪ばっかり。ホント困ったことだわ・・・」
 「そっちの事情はほとんど理解不可能だが、まあ掃除に妖怪退治くらいならできないこともない。で、巫女さんが調査って何だ?」
 士の問いに霊夢、
 「私はこの土地、外界とは隔離された幻想郷の結界管理を仕事にしてる。だから、それを乱すようなやつはやっつけて回ってるんだけどね」
 士を見て、
 「さっき、鳴滝ってやつがきて、あんたはこの世界を破壊する存在だから片付けろって言って去っていったわ」
 士は眉をひそめて、
 「ああ、さっきの鬼はそれを聞いたのか。それで、おれをどうするんだ?」
 霊夢は士をじいっと見つめながら、
 「別に。“今の”あなたは幻想郷に害になる存在じゃなさそうだから、予定通りここで働いてもらうわ」
 (“今”の・・・?)
 士は霊夢の言葉にやや引っかかったが、とりあえず相手に敵意はないようなので追及はしなかった。
 「で」
 霊夢は言葉を続けて、「ちょっと前から、幻想郷上空に巨大な船が見えるって話が相次いでね」
 「船?」
 「そう、船。ま、ちょっと前にも同じようなことがあったんだけどね、それとは違うみたい。で、それと同じくして幻想郷に住む妖怪たちが次々行方不明になっているの」
 「妖怪がいなくなるなら、人間にとっていいことじゃないのか」
 「ここは人間と妖怪の数の均衡によって秩序が保たれている。だから、どちらかが減ってしまうのはよくない。それに、そのうち人間も攫われるかもしれない。黙って見ているわけにはいかないのよ」
 「人間と妖怪の共存か」
 士は「キバの世界」のことを思い出しながら言った。ワタルと同じような役割を担っているのが、この世界ではこの巫女なのだろう。
 「空に浮かぶ船って・・・」
 夏海がはっとして言った。「まさか、大ショッカー・・・!」
 「大ショッカー?」
 霊夢が首をかしげる。「何よそれ」
 「この世界に“仮面ライダー”はいるのか?」
 と士は訊く。
 「仮面ライダー???」
 霊夢はさらに首をかしげた。「何言ってるのか、さっぱりわからないんだけど」
 「どうやらこの世界にライダーはいないようだ。なら大ショッカーの仕業ってこともないだろう」
 士は夏海に言った。そして霊夢に、
 「だいたいわかった。心行くまで調査してきてくれ。こっちは適当にやっておく」
 「適当に、ね。まあ参拝者が見て廃墟かと思われないくらいにはしておいてほしいわ」
 霊夢は立ち上がった。「それじゃ、早速行ってくるから。あ、だいたい五時くらいになったら帰っていいわよ」
 「ああ、わかった。誰か来たらどうすればいい?」
 「賽銭を絞り上げて!」
 霊夢は縁側へ出て行くと、そのまま空中へ飛び上がり、飛び去って見えなくなってしまった。
 「便利ですねえ」
 夏海が煎餅をぱりっとかじりながら言った。「士くん、掃除しますか?」
 士は机に突っ伏して、
 「夏の昼間に掃除する馬鹿がいるか。午後はお茶の時間だ」
 と言った。
 そのとき、外のほうで何かが着地する音がした。
 「もう帰ってきたんですかね」
 夏海が言ったとき、
 「霊夢!」
 頓狂な声とともに、黒と白の衣装に身をまとい、黒いとんがり帽子をかぶった少女が部屋に転がり込んできた。少し遅れて小さな人形がふわふわと続き、少女の後ろに隠れる。
 「きゃ!」
 夏海が驚く。
 「何だおまえは」
 士は少女を睨んだ。「妖怪か?」
 「誰が妖怪だ・・・って、誰だお前?」
 少女―霧雨魔理沙は士と夏海を見上げて顔をしかめた。そして士の装束をまじまじと見て、
 「霊夢の知り合いか?」
 「その雇われ人だ」
 と士は言った。「留守番を仰せつかっている。用件は何だ。お祓いか?参拝か?あいつからは、来た奴から賽銭を絞り上げてもいいと言われているが」
 「霊夢いないのかよ!」
 魔理沙は落胆したように肩を落とした。「どうしよう・・・」
 「何があったんです?」
 夏海が優しく声をかける。「何か力になれることがあったら、手伝いますよ?」
 「まあ、話を聞いておいて、あとで伝えてやる」
 士も偉そうに言った。「話したければ話せ」
 魔理沙はむっとしたように士を見上げたが、しかし、よほど切羽詰っているので、
 (ここでお茶を飲んでいるくらいだから、霊夢が招いたに違いない。霊夢が留守を任せるくらいだから、ひょっとしたら何か力になってくれるかも・・・)
 と思い、
 「実は・・・」
 と経緯を話して聞かせた。

 

  「・・・それって!」
 魔理沙の話を途中まで聞いた夏海が驚く。
 「海東か・・・」
 士がため息をつく。「あいつもこの世界へ来てたのか・・・!」
 うなだれてぽつりぽつりと話していた魔理沙はがばっと顔を上げて、
 「あいつを知ってるのか!」
 「ああ。行く先行く先で本当に迷惑しているやつだ」
 「あいつの居場所も知ってるのか!」
 「それは知らない。あいつは盗賊だからな。いつもどこにいるのかは知らん」
 「そうか・・・」
 魔理沙はまたがっくりとなった。「はあ・・・」
 「そんなに気を落とさないでください」
 夏海が魔理沙のそばに寄っていき、肩を優しく叩く。
 「気休めはよしてくれ」
 魔理沙はまたため息をついた。「はあ・・・今までの苦労が水の泡に・・・」
 「もう・・・」
 夏海はふくれて、「そんな人には、こうです!」
 彼女の指が魔理沙の首の付け根にめり込んだ。
 「・・・・・うひゃ、は、ははははははははは!」
 夏みかん必殺「笑いのツボ」が魔理沙に炸裂し、魔理沙はたちまち笑い転げ始めた。
 「おお、久しぶりに見た」
 と士。
 「士くんにも久しぶりにしてあげましょうか?」
 「いや、いい!」
 ――やがて笑いが治まると、魔理沙は苦笑いしながら頭をかいた。
 「大切なものを盗まれたショックでちょっと落ち込みすぎてたぜ。ありがとう」
 夏海に頭を下げる。「もう大丈夫だ」
 「それはよかったです」
 夏海はにっこりと笑った。
 「あいつはおれにしつこく付き纏ってくるから、そのうちこっちに現れるかもしれん」
 と士。魔理沙は手を叩いて、
 「じゃ、あんたをマークしてればいいってわけだな!」
 「まあそういうことだ。ただストーキングは御免蒙るがな」
 「よし、希望が出てきたぜ」
 魔理沙は煎餅をぱりっとかじって、「それじゃちょっとここにいさせてもらおう」
 そして、後ろの人形に、
 「というわけだ。そちらは大丈夫か?」
 と話しかけた。すると、
 “こちらは大丈夫よ”
 という少女の声がした。
 「わ!トランシーバーですかそれ」
 夏海が驚く。
 「それがどんなものかわからんが、そっちでそう言うのならそういうもんだと思う」
 魔理沙はにっと笑って、また人形に、
 「やつの素性がわかった。外から来た人間みたいだ。神社にそいつの知り合いがいた」
 “そいつらは大丈夫なの?”
 「ああ、いいやつらだ」
 “ふうん・・・まあいちおう気をつけなさいよ。こちらにはそれらしいのは来ていないわ。たぶん迷いの竹林にでも行ったんじゃない?”
 「ああ、あっちか・・・まあアリスのところは最近けったいな人形ばかりだもんな」
 “何がけったいですって?”
 「爆発する人形ばかりじゃないか」
 “研究の過程よ。まあノコノコやってきたら問答無用で吹き飛ばしてやるけど”
 「頼むぜ。そいつはこっちにいる知り合いさんにしょっちゅうちょっかい出してるみたいなんで、私はしばらくここにいる」
 “気をつけなさいよ。何かわかったらこっちからも連絡するわ”
 「ああ。それじゃまたな」
 “ええ。また後で”
 人形が沈黙すると、夏海が、
 「お友達ですか?」
 「友達・・・」
 魔理沙は苦笑いして、「まあ、そうかな。近くに住んでるから、声をかけといた。まだ来ていないようだから、よかった」
 「そいつは人間なのか?」
 と士。
 「あー・・・違うな。見た目は人間だが、人間じゃない。妖怪というのともちょっと違うが、妖怪みたいなもんだ」
 と魔理沙。
 士、
 「よく付き合えるな」
 「まあな。気難しくていつも研究で引きこもってるけど、まあ話せばいい奴・・・」
 魔理沙が答えている時、表のほうで何か複数のものが落下する音がした。


 「何だ?」
 魔理沙が縁側へ行って箒を取る。「妙な雰囲気だぜ・・・」
 士と夏海もそれに続いて縁側から下りる。「何が来た・・・?」
 「博麗霊夢、いるか!」
 表のほうから少女の声がした。
 「誰だ?」
 魔理沙が眉をひそめる。「聞き覚えのない声だぜ」
 「巫女はただいまお出かけだ」
 士が声を上げた。「ご用件ならおれが聞こう」
 すると、表のほうから四つの影が現れた。
 「こんなボロ神社に他にも住んでる奴がいたとは」
 中央の、セーラー服を着、金髪をツインテールにまとめた勝気そうな少女が言った。
 その傍らに、茶色の、下のほうが丸く膨れた妙な服を着た少女―黒谷ヤマメが立っており、その後ろにいたのは―――
 スパイダーオルフェノクとズ・グムン・バだった。
 「オルフェノクにグロンギだと!」
 士が驚く。「まさか」
 「何だこいつら!それにあいつ、洞窟の・・・」
 魔理沙も驚く。「何だってこんなところに」
 「へえ、こいつらの正体がわかるとは」
 少女はやや驚いたように、「どうして知っている?」
 「神主さんは何でも知っているんだ。それよりもおまえたち、賽銭は入れたか?」
 「何?」
 「神社に来た者は賽銭を入れるならわしだ。知らないのか」
 「・・・知るか!博麗霊夢はどこだ!」
 「多分お前らを探しにさっき出て行ったぞ」
 「そ、そうなのか!くそっ」
 振り返りかけた少女に、士は言った。
 「おっと、その霊夢さんから言われていることがある」
 「何?」
 「妖怪や妖精が神社にちょっかい出してきたら、コテンパンにやっつけること、ってな」
 士はディケイドライバーを腰に当てる。「その上でお賽銭を搾り取ってやろう」
 少女は声を荒げて、
 「おまえ・・・何者だ!」
 士はライドブッカーからカードを抜き、斜めに掲げた。
 「通りすがりの仮面ライダーだ・・・覚えておけ!」
 “カメンライド・・・ディケーイド!”
 ディケイドを見て少女はうろたえた。
 「何っ!ライダーだと!?まさか!」
 少女がうろたえる。「や、やれっ!」
 スパイダーオルフェノク、ズ・グムン・バ、そしてヤマメがディケイドに襲いかかる。
 「“スターダストレヴァリエ!”」
 その時魔理沙のスペルカードが炸裂、星に包まれた三体が吹き飛ばされる。その中でも軽量でひときわ高く跳ね上げられたヤマメに、
 「“ブレイジングスター!”」
 魔理沙が箒で突っ込み、他の二体から引き離した。
 「こいつは私に任せろ!」
 「わかった」
 ディケイドは右手首を軽くスナップさせた。「夏の盛りだ、暑いからちゃっちゃと終わらせるぞ」
 そしてカードをバックルに叩き込む。
 “フォームライド・・・ファイズ・アクセル!”
 ディケイドが仮面ライダーファイズ・アクセルフォームに変身した。
 “スタートアップ”
 左手首に装着されている「ファイズアクセル」のスタータースイッチを入れる。同時にファイズの動作は通常の1000倍になった。
 ファイズは二体の怪人との間合いをあっという間に詰め、パンチとキックを雨あられと叩き込んだ後、キックで高く蹴り上げる。
 同時にもう一枚のカードを抜き、バックルに挿入した。
 “ファイナルアタックライド・・・ファファファファーイズ!”
 ファイズの右脚にファイズポインターが出現する。
 ファイズは高くジャンプ、と二体の怪人の周囲に五つの円錐状の赤い光が展開し、一瞬の後、その光の中へファイズが次々にキックを叩き込んでいった。ファイズの必殺技のひとつ、「アクセルクリムゾンスマッシュ」だ。
 ファイズは着地し、
 「ついでだ」
 最後に魔理沙と戦っていたヤマメのところに行ってごつんと拳骨を食らわせる。
 “リフォメイション”
 10秒が経過してファイズ・アクセルフォームが解け、ディケイドの姿に戻った。同時に二体の怪人の体に赤い「φ」の形の閃光が走り、一体は灰化、一体は爆発。そして、ヤマメも気絶して地上に転がった。
 「な・・・な・・・」
 少女はわずか10秒の間の出来事に愕然とした。
 「おお・・・」
 魔理沙も感嘆の声を上げた。「すごいな!」
 「それほどでもない」
 とディケイド。そして少女のほうに向き直り、
 「さて、お賽銭を置いていってもらおうか。でなけりゃ、たっぷりとバチを当ててやる」
 「お、お・・・覚えてろっ!」
 少女は振り向いて逃げようとした、その頭上から、
 「“モーゼの奇跡!”」
 凄まじい閃光とともに急降下してきたのは東風谷早苗だった。
 「・・・・・・!」
 早苗の一撃をまともに食らった少女はひとたまりもなく崩れ落ちる。
 「決着!」
 魔理沙が苦笑いした。(*notケッチャコ)
 「何だあいつは」
 とディケイド。
 「幻想郷の巫女2号だぜ」
 と魔理沙。「しかし何でまた」
 「誰が2号ですか」
 早苗が立ち上がる。「何だか妙なことになっているようですね・・・」
 そしてディケイドを見て、
 「これもあなたが原因なんでしょうか?」
 「何?おまえも鳴滝に吹き込まれたのか」
 「ええ。そして、今日はここにいるはずだと・・・」
 「信じるのか?」
 「それは私がこれから確かめます」
 早苗が懐から何やら青いものを取り出した。ディケイドライバーのようなバックルだった。
 「・・・?おまえのと似てるな」
 魔理沙がディケイドライバーを見て首をかしげる。
 「おいおい」
 ディケイドもそのバックルを見つめる。
 早苗はバックルを腹部に当てた。するとベルトが伸張し、腰に巻きつく。
 早苗は祓串をベルトの背側にアタッチメントすると、両手をすうっと下ろしてぐっと握り、ギリギリと音が出るかのように強く震わせた。
 「何やってんだ?」
 魔理沙が言った瞬間、早苗は両拳を開くと両腕をばっと上げて頭上で交差、勢いよく斜め下に振り下ろし、一瞬溜めたあと再び振り上げ、今度は胸の前で深く交差させた。 そして、
 「変ッッッ・・・・・・・」
 力のこもった声とともにゆっくりと水平に両側へ開いていく(*ウルトラマンティガのゼペリオン光線の予備動作みたいに)。ここまでの手の軌跡はちょうど五芒星を描いていた。そして、
 「―――身ッッッ!!」
 少し振りをつけて左手を腰に、そして右手を左上へ思いっきり突き上げた。同時にベルトから閃光がほとばしり、早苗の体を包んでゆく。
 「おいおいおい!」
 魔理沙が早苗に指を突きつけて、「何やってんだー!?」
 「マジかよ・・・」
 ディケイドも思わず宙を仰いだ。

(ガシャン、と前編Bパート終わり)


*次回、仮面ライダーディケイド!

「ライダーはジャンプで語り合うんです!」「おい、コイツ・・・大丈夫か?」
「私は北嵯峨ちゆり・・・」「「お願いだ、教授を止めてくれ!」
「私の科学に敵はない!儚い幻想など粉々に打ち砕いてやるわ!あなたもよ霊夢!」
「だーかーらー、あんたなんか知らないって言ってるでしょ」
「ディケイド・・・貴様はここで幻想とともに消え去る運命なのだぁ!」
「なんだ、このカードは・・・」
「今日限りのスペシャルカードよ、派手にキメてちょうだいね」
「それじゃ、やるか」「いきます!」
“ファイナルアタックライド・・・”

*スーパーヒーロータイムED
永遠亭に忍び込もうとするも途中出逢ったてゐに騙されて罠にかかりえーりんにお仕置きされる海東
の巻

       *次回には次回予告と思い切り違うところがありますが、本放送でもよくあることなので堪忍してつかあさい

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