幻想体育祭(仮)4th


もし幻想郷で体育祭が開催されたらたぶんこうなる(かもしれない)

「開幕前」

射命丸文のインタビューコーナー・・・

「今回より黒組に新加入、命蓮寺の聖白蓮さんです」
「よろしくお願いします〜」
「いやーなんと言いますか風格、いや貫禄?がありますよね。
黒組リーダー交代か?とも言われてましたけど」
「あらあら、まさか。
輝夜さんは私より年長ですし、ここでの暮らしも長いですから・・・
先達に道を譲るのは当然のことですわ」
「さすが聖職、慎み深いですね。体のほうはまったく慎んでいませんが・・・」
「は?」
「いえなんでもありません。
では体育祭に向けての抱負をひとつお願いします」
「こう見えても運動には自信がありますので、
黒組のお役に立てるよう全力を尽くしたいと思います」
「ありがとうございましたー」
「どういたしまして」


「よ〜し、いいところ見せて
みんなをびっくりさせてやる〜」


しかし同組には早苗さんが
一輪さんは青組、
そして雲山は紅組での出場に。



「徒競走直前」

「うう、本当にこれで今日一日過ごすのか・・・」
「闘争の場で羞恥の心は命取りだぞご主人様」
「まあ、そのうち慣れるさ。だいたい皆同じ格好なのだから」
「あそこの狐の妖獣は全身覆った服を着ているというのに・・・」
「命蓮寺はこの衣装で統一するとの聖様のお達しだから仕方ないですね」
「ちなみにあの雲以外の、だな。
世の中には普段からもっと軽装の虎柄の衣装の女性がいるそうだ」
「そんな破廉恥な女と一緒にしないでください!」
「お、聖が手を振っていらっしゃる」


「星〜がんばって〜」


(キュピーン)
「オレはやるぜオレはやるぜオレはやるぜオレはやるぜ・・・・」
「あ、スイッチ入った」
「犬ぞりでも全力で牽きそうな勢いだな。そろそろ私たちの番だ、移動しようか」
「オレはやるぜオレはやるぜオレはやるぜオレはやるぜ・・・・」

「徒競走、姉妹激突」

こいし「やったー!私が一番っ!」



さとり「はあ・・・疲れた・・・普段運動しないから体がなまってるのかしら」
レミリア(紅組リーダー)「負けてしまったか」
さとり「ご期待に添えなくて申し訳ないわ。・・・でも、私を選んだ時、私が勝つなんて考えていなかったようだけど・・・」
レミリア「まあな」
さとり「いったいどういうつもりで・・・」
こいし「お姉ちゃん!」
さとり「わっ!・・・こ、こいし・・・」
こいし「まず私の一勝ね。次はどの競技に出るの?またいっしょにやろうよ。今日は絶対に負けないから!」
さとり「え、ええと・・・(レミリアを見て、はっとして)あなた・・・そういうことで・・・」
レミリア「姉妹でこういうことができる機会もそうそうないだろう。
今日は勝敗は別にしてしっかり楽しむことだ」
さとり「・・・それは自分の経験から出てきたものなのかしら?」
レミリア「さあ、どうかな。・・・で、次はどの競技がいい?」

「インタビューコーナー」

「はい、リポーターの射命丸文です。
紅組リーダーのレミリア・スカーレットさんにインタビューです!
・・・・・・今回の出だしはいかがでしたでしょうか?」
「まあ、最初の徒競走は黒組に譲ったというところね。
あそこは速さだけがとりえだから。
これからの競技で巻き返すわ」
「今回は地霊殿の古明地姉妹が紅組・青組に分かれての参加です。
先ほども徒競走で実現した姉妹対決が今後も見ものですが、
スカーレット姉妹は同組なので、姉妹タッグでの活躍に期待が高まってるようですよ?」
「え?そうなの?」
「ええ。二人三脚とかで姉妹息のあったところを見せるとか」
「そ、そうねえ・・・あの子が乗り気になったらね」
「そうですか。ではたきつけてきましょう」
「だめよ!下手に刺激したら体育祭が大変なことになるわ!こら、待ちなさい!」

「風船割り」

紅・黒・青3チームのエースが激突したところ、
もつれて倒れて絡み合ってしまったでござるの巻

「閻魔は見ていた」

もと拍手絵。

借り物競争。
スペルカードの借り物があったのを事前に確認したので、
文字通りの爆弾に正体不明の種をつけて放り出しておいた。
幻想郷の者にはスペルカードに見えるはずだ・・・

ボ ム

「くっくっく、いたずら成功ー」









「あの妖怪、まだよこしまな心が治まらないようですね・・・
これはお仕置きが必要ですか」
「あーあー、四季様がいらっしゃるっていうのに。
生まれ持った性には逆らえないってとこですかね」
「貴方も人のことは言えないと思いますが」
「え?そうですか?」

「インタビューコーナー」

射命丸文のインタビューコーナー・・・

「今回青組に加入した、命蓮寺の村紗水蜜さんです」
「・・・あ、どうも」
「今回から新たに加わった錨投げの競技、いかがでしょう」
「錨の有効活用って、こういうことだったんですか?」
「みたいですね」
「投げるもんじゃないんですけどね・・・投下はしますが」

「ファイエル!」

「なんか撃ってるし!それ銛じゃないし!」
「飛びますねえ・・・」
「船が懐かしくなってきました」
「そこは幻想郷に慣れていただくしかありません。
今日がその一歩です。頑張ってください」
「はあ・・・」



射命丸文のインタビューコーナー・・・

「はい、ただいまの錨投げで見事優勝しました、霊烏路空選手です!」
「やっほー!見たか!私の力を!」
「テンション上がってますねえ。
それにしても見事な投擲でした。投擲というより射撃でしたが。
ともかく同じカラスとして私も鼻が高いです」
「天狗だけにって?うまいねホント!はっはっは!
まあ私に任せておけば黒組の優勝は堅いね、うん!」
「(ちょっと調子に乗ってきてますねえ・・・)
メルトダウンには気をつけて頑張ってくださいね」
「だーいじょうぶ!まーかせて!」
「あら、こんなところにいたのね地獄烏」
「うにゅ?」
「おや、舞台効果担当の風見幽香さん」
「機材の充電するから、ちょっと来なさい」
「ああ、発電作業ですか。頑張ってきてくださいねー」
「ちょ、ま、次の競技に、出・・・うにゅううううううう〜〜〜〜」
「・・・・・・これで少しはおとなしくなるでしょう。本部どうぞー」



「レスリング・決勝前」

「決勝の相手が寺の住職の尼、とはな」
「間違って調伏でもされたら四天王の名折れじゃん?がんばりなよー」
「冗談もほどほどにしておけ。
あいつがいくら人間離れしていようと、私の人間離れはそれ以上だ」
「とかいって、盃を下ろしてるじゃん」
「決勝だからな。最後にちょっと本気を見せるだけだ」



「(あああ、同じ組の者を応援するのが当然ながら、聖にも負けてほしくない・・・
いったい私はどちらを応援すれば・・・うああああ〜〜〜)」
稗田阿求(実況)「さあ、レスリングの部決勝は、紅組・星熊勇儀選手と黒組・聖白蓮選手の対戦となりました!」
森近霖之助(解説)「聖僧の法力が鬼を調伏するのか、はたまた鬼の剛力がそれを捩じ伏せるのか、注目の一戦だね」

(黒組テント前)
蓬莱山輝夜(黒組リーダー)「行きなさい白蓮!あの不埒なボイン鬼を退治してくるのよ!」
聖白蓮「まあまあ。鬼の方となんの遺恨もなく正々堂々と手合わせできる、これは素晴らしいことです。力の限り、よい試合をして参りますわ」
輝夜「相変わらず呑気なやつねえ・・・」
因幡てゐ「こっちの方もいい加減不埒なボインと思いますがー」
輝夜「“乱をもって乱を制す”!・・・というやつよ」
てゐ「見事なお答えです、姫様」
輝夜「まーかせて!」

(招待席)
夢子「あっ・・・!神綺様、また買い食いを・・・少しはお控えになってください」
神綺「だって、あの秋の神の屋台、凄く美味しいのよ?魔界に連れて帰りたいわー。それよりこれから白蓮の試合よ」
夢子「おお・・・ですが、テニスコートのほうでもこれからアリスの試合が始まります」
神綺「アリスちゃんが!?運営、なってないわ運営!」
夢子「どちらを御覧になりますか?」
神綺「・・・ふふふ。私は神。同時に二箇所を見ることくらい造作もないことよ!」
夢子「傍から見たらリアクションが凄いことになりそうですけどね」

阿求“さあ、激しい主導権争いが続いています!”
霖之助“すごい組み打ちだね。通常の人妖ならとっくにKOだろう”
阿“あっ、白蓮選手が素早く背後を取った!そして、これは―――!?”
霖“両脚で相手の脚と首を、左腕で右腕をロック!この技は!?”
阿“そしてこの右手である―――!?”

神綺「これこそ四十八の魔界殺人技のひとつ、ナムサン・ホールド!見事に物にしたわね、白蓮!」
夢子「何言ってるんですか・・・こっちのプロレス雑誌拾ってきて暇つぶしに適当なこと言って教えただけでしょう」
神「何でもいいわ。いけー!そのままいてまえー!・・・あっ、アリスちゃんの試合始まった・・・
って、きゃー!アリスちゃんぱんつ見えまくりー!何てはしたない!」
夢「落ち着いてください、あれはアンダースコートというものです」

勇儀「・・・ふん、やるねえ。力だけではないようだ」
白蓮「ありがとうございます。でもこの技はこれからですわ。“・・・・・・・・・・・・・・・”」
勇「!!?ぐ・・・っ!?」

阿“!?この声は・・・っ、ど、読経しています白蓮選手!そして・・・”
霖“これは・・・締まっているッ!経典により自分の肉体を強化しているのか・・肉体がきしむ音が聞こえてくるよ!”
阿“お経で・・・って、孫悟空の頭のアレみたいな感じですね!それを自分の体で・・・!
星熊選手、表情はわかりませんが呻き声が聞こえます!
これは、相当の力がかかっているようです!”
霖“この技自体の名はオクトパス・ホールド、日本名は卍固め。彼女にはふさわしい名前だが、
しかし、この追加要素は強力だ。このままだと、落ちてしまうかもしれないよ”
阿“これは白蓮選手のオリジナルホールド、聖固めというべきでしょうか!星熊選手、大丈夫でしょうか!
その瞼の裏に映っているのは、地獄か、はたまた極楽か!”

白「“・・・・・・・・・・・・・・・・・・”」
勇「く・・・なかなかきついな・・・でも、これで体がほぐれ・・・た!」
(怪力で一気に技を外し、白蓮を転がす)
白「!?」(転倒するもすぐに起き上がる)

阿“ああっ!は、外しました!それも一気に・・・・!”
霖“力任せで無理やり・・・・とんでもないな”
阿“なんという力!あの状態から一気に外してしまうとは!鬼の力はどこまで底なしなんでしょうか!”

勇「骨がありそうだね。楽しくなってきた(ちょっとびっくりしたなあ・・・)」
白「どういたしまして(あれを外すなんて・・・)」
勇「さて、先に技をかけさせてやったんだから、今度は私のを受けてもらおうかな」
白「えっ」

阿“あっ、星熊選手が突進!白蓮選手を掴んで―――!”
小悪魔“はい、こちらテニスコート実況席。こちらの実況解説は図書館のアイドル・小悪魔と――”
鍵山雛“厄神・鍵山雛でお送りします”
小悪魔“いやー、不吉なコンビですねー。それはともかく、こちらでは紅・青・黒組より二人ずつ出場しての三試合が行われています。
まずは青組・アリス・マーガトロイド選手対黒組・鈴仙・優曇華院・イナバ選手、続いて黒組・射命丸文選手対紅組・犬走椛選手、
そして紅組・姫海棠はたて選手対青組・村紗水蜜選手。機動力重視か、天狗勢勢揃いですね。射命丸選手と犬走選手の天狗対決は注目です。
それにしても皆さん、純白のテニスウェアに身を包んできれいですねー。さわやかです”
雛“それと対照的に、観客席からはよこしまな気がもくもくと立ち上っているけどね”
小悪魔“さて、試合ですが――おっ、アリス選手、このゲームも優勢な試合運び。見事なラケット捌きで、鈴仙選手を翻弄しています”
雛“鈴仙選手、右へ左へ、まるで操られているように走り回ってるわね。まるで操り人形。たまりかねて前へ出てきたところ――へパッシングショット”
小悪魔“さすがは人形遣い。ラケット一本で相手を自由自在に操っています!このゲームもブレークしました”
雛“狂気の瞳を使おうにも、最初の挨拶のときから視線を外されてたからね・・・アリス選手、抜け目がないわ”

神綺「あーもう見えすぎじゃない!いくらぱんつじゃないからってあれじゃアリスちゃんが盛りのついた男の欲望の的に!」(パシャパシャ)
夢子「うわ、目が光ったと思ったら写真が生成・・・変なことに力を使わないで下さい。
あれはこちらでは一般的なテニスの衣装ですから大丈夫だと思いますよ」
神綺「客席からもあんなにたくさんのカメラが!」
夢子「ああ、そこの河童印の売店で売ってましたね・・・」
神綺「あいつらー!アリスちゃんを夜のおかずにするつもりねー!レッツ神罰!」
夢子「おやめ下さいー!」

小悪魔“あ、観客席に落雷が。こんな青空なのに珍しいですね。まあここに集まるくらいですからそれくらい耐えるでしょう。
万一の場合でも医務室に行けば永琳先生の処置で生き返りますし、問題ありません。今回は弟子二人つきの三人体制です”
雛“至れり尽くせりね”
小悪魔“さて、天狗対決のほうは両者素晴らしいスピードです”
雛“ショットにも鋭い気流が込められてるみたいね。両者のウェアがところどころ裂けているわ”
小悪魔“天狗対船幽霊戦は異色の対決ですが、やはり機動力に勝る天狗のほうが押してますね。これはいささかミスマッチだったようです”
雛“そうかしら。村紗選手、着々と相手にダメージを与えているようだけど”
小悪魔“そうは見えませんが・・・どういうことですか?”
雛“そのうちわかるわ”


小悪魔“さあ、ほかの二試合は終わって残るは姫海棠選手と村紗選手の一試合のみです。
村紗選手、よく粘っていますがこのまま姫海棠選手が押し切るか!”

姫海棠はたて「よく粘ったわね。でもこのゲームで終わらせてもらうわ」
村紗水蜜「そうなるかしら?」
はたて「強がってももう遅いわよ」
水蜜「あまりの優勢に目がくらんで、自分の身に何が起こっているかもわからないようね」
はたて「?何を言って・・・・・・・って、きゃあああ!」

小悪魔“!ああっと!姫海棠選手の全身がいつの間にかびしょ濡れに!?”
鍵山雛“村紗選手、試合開始からずっと自分のショットのときにボールに水を含ませていたわ。
そして姫海棠選手のショットの時に、その飛沫が姫海棠選手に飛び散る・・・それの蓄積ね”
小悪魔“なるほど・・・でもその程度の飛沫なんて、すぐに乾きませんか?”
雛“彼女は船幽霊。海で死んだ者の幽霊が現われた時、なかなか乾かない、べったりと濡れた足跡を残すでしょう?その類の水でしょうね”
小悪魔“なるほど、べったりとした水・・・っと、よく見ると姫海棠選手の白いテニスウェアが濡れて透けています!”
雛“この状態で今までと同じ動きができるか・・・どうかしらね”

水蜜「と、解説の通りよ。その水には水難者の霊が憑いてるから、成仏させるか祓うかしなければ乾かないわ。
最近まで基本的に引きこもっていたあなたが、衆目の中、その姿でどこまで耐えられるかしら?」
はたて「くぅ・・・っ・・・・・卑怯な・・・うう・・・これ、ぬるぬるしてる・・・」
水蜜「卑怯なって、私は船幽霊ですもの。霊とか水を出すなといわれてもー」(ラケットから水をだばだば)
はたて「あ、あんたも水を出してたらウェアが透けてるんじゃないの!?」
水蜜「確かにね。でも・・・・ほら」
はたて「!」

小悪魔“ああっとー!村紗選手のウェアの下は水着だーッ!これは恥ずかしくないイイイーっ!”
雛“最初からこういう勝負に持ち込むつもりだったのね。用意周到だこと”

水蜜「さあ、早くサーブをどうぞ。みんながあなたにカメラを向けているわ。いつも写真を撮っている自分が被写体になる気分はどうかしら」
はたて「〜〜〜〜〜〜〜〜!」
水蜜「早く早く早く。ハリーハリーハリー!」
はたて「・・・・・・・・・・・・・・降参・・・・」
水蜜「なんですってー?」
はたて「・・・・降参ー!もういやぁぁぁぁぁ・・・・!」

小悪魔“あ、姫海棠選手、なんとエスケープだーッ!”
雛“羞恥心に耐えられなくなったのね。まあ、仕方ないけど”
小悪魔“となると、姫海棠選手の試合放棄で、この試合は村紗選手の勝利となります!幽霊らしい、わりと陰険な作戦による勝利!
ちなみに私は悪魔のはしくれだけにこういう決め方は大好きです。ほかの試合はアリス選手、射命丸選手の勝利。
青組2勝、黒組1勝という結果になりました”
雛“ま、いちおうビデオを審議に回しときましょう”
小悪魔“それではこれにてテニス実況を終了、レスリング会場にカメラを戻します。皆様さよーならー”
雛“さようなら〜”

阿求“はい、テニスからレスリングの部・決勝にカメラ戻りました。
こちらはいよいよ星熊勇儀選手が本領発揮!凄まじい力で白蓮選手を締め上げています!”
霖之助“この技は「ベアハッグ」。熊の抱擁、の意味だね。星熊選手に相応しい力技といえるのではないかな”

白蓮「あ・・・ああ・・・あ・・・!」
勇儀「さあさあ、どうする尼さん!ここらで音を上げるかい?」

阿求“に、肉と骨のきしむ音がこちらまで聞こえてきます!白蓮選手、大丈夫なのでしょうか!?”
霖之助“西洋、希臘の神話では、大地女神の子であるアンタイオスは体の一部が母なる大地についている限り無敵だったので、
英雄ヘラクレスは彼を大地から吊り上げたまま絞め殺したというけど、まさにその再現のようだ。白蓮選手は肉体強化魔法でここまで鬼と対等に渡り合ってきたが、ここまでの力勝負となると・・・”
阿求“あっと、星熊選手、身を反らせて白蓮選手を投げた―――ッ!?マットに叩きつけられる白蓮選手!”
霖之助“フロントスープレックスだ、そして・・・”
阿求“向き直って、その後を追って高く跳躍、バク宙で勢いをつけてそのままプレス―――!!決まったっ!!”
霖之助“シューティングスタープレス。本来はコーナーポストから飛ぶ技だけれど、さすがは鬼の脚力というところだね。さっきの技と合わせて星熊スペシャルといったところだろうか”
阿求“このままフォールにいくのか・・・あ、いきません!フォールしない!”
霖之助“KO決着を志向しているようだね。白蓮選手もはね返せない。相当体にきているようだ”
阿求“それにしても、あのまま締め上げていれば決着したような気もしますが、どうして投げたんでしょう”

白蓮「う・・・っ・・・」
勇儀「ただ締めて終わりじゃ見てて面白くないし、いろいろ技のリクエストもあってね。これから出すのはなんとかっていうマンガの技だっていうんだけど。
じゃあいくよ!食らってなお意識があったら私としてはうれしいけどね!」

阿求“あっ、星熊選手、白蓮選手を投げ上げて自らも跳躍、そして白蓮選手を角でさらに高く跳ね上げてその後を追う!これは・・・!”


阿求“ああっ!星熊選手、空中で白蓮選手を逆さに捉えて、両手両脚を極めたっ!そして、そのまま落下する――――!!”
霖之助“これは受身が取れないぞ!”

――――!!!

阿求“ご、轟音とともに、白蓮選手、頭から逆さにマットへ叩きつけられました!この技は、真マッスル・リベンジャー”
霖之助“なっ!知っているのか阿求!”
阿求“守矢神社が来てから外の世界のマンガをより多く読めるようになりましたので・・・”
霖之助“なるほど。それにしても、実際には体勢的にかなり無理のあるこの技、きれいに極めてきたね”
阿求“さすがは幻想郷です。っと、それはおいといて、完全に決まりましたが、白蓮選手、大丈夫でしょうか!!KOなのか!”
霖之助“星熊選手、白蓮選手から離れた・・・勝利を確信したのか。いや”

勇儀「さあ、もうこれまでかい?」
白蓮「・・・・・・・まだです・・・まだ・・・終われません・・・」
勇儀「ふふっ、そうこなくちゃ!」

阿求“あ、あっ!白蓮選手、動きました、そして起き上がりますっ!体は大丈夫なのか!”
霖之助“かなりのダメージなのは間違いない。体力を振り絞って技を一つ出せるかどうかだろう。星熊選手も追い討ちしない。それを受けて立つようだ”
阿求“これぞプロレスの醍醐味って感じですね!”

勇儀「さすが尼さん、苦行には慣れているね」
白蓮「私も黒組の主将からの期待を背負ってますからね・・・それに、客席では魔界の神様も見ておられます。無様な姿は見せられません」
勇儀「坊さんてのは世のしがらみから遁れるもんだと思っていたけど、なかなか人情家だね。そういうのは嫌いじゃない。さあ、来な!」
白蓮「いきます・・・!」

阿求“さて、白蓮選手どうしますか。魔法使いならばここはやはり王者の技・関節技でしょうか?”
霖之助“いや、あの星熊選手を倒せるだけの時間、関節技をかけ続ける体力はないだろう。やはり一撃必殺の打撃技になるのではないかな・・・!”


阿求“さあ、白蓮選手立ち上がりましたが、何か手はあるのでしょうか!”
霖之助“やはり、なんらかの加持によって大きな力を得るしかないだろうね”
阿求“ですね。四天王か五大明王か、それとも摩利支天の力でも借りるのでしょうか?”



“Namah samanta-buddhanam, om bhrum...”


阿“白蓮選手、印を結んで何か唱え・・・!!な、なんと、体が光り始めましたっ!これは・・・真言?」
霖“《一字金輪王咒》・・・らしいね」
阿“え、そうなんですか。それって“ナウマク・サンマンダ・ボダナン・オン・ボロン”じゃ・・・ああ、あれは梵語なんですね。原語を用いることでより強力な効果を得ようということでしょうか”
霖“これは強力な真言を使って来たね”
阿“はい。梵字“ボロン”のただ一字を神格化した“一字金輪仏頂”の真言です。息災、調伏などに絶大な威力を発揮し、
また五百由旬以内で行われている他のすべての呪法を断壊(だんえ)、つまり無効化させ、これを修するだけでさとりを体得できるという、
かつて真言宗では京の東寺の長者でなければ修することが許されなかった、まさに最高最頂、無敵の修法において唱えられる真言です。
白蓮選手、智拳印を結んでいますので、「大日金輪」を観想しているのでしょう。それにしてもすごい光です。いったい白蓮選手、どんな境地に達しているのでしょう”
霖“ええと――《明鏡止水》らしいよ”
阿“(便利な能力ですねえ・・・)明鏡止水ですか・・・そのわりにずいぶん派手派手ですけど”
霖“金色に光る仏像も多いし、ある境地に達すればその身が金色に光るというのもあるんじゃないかな”
阿“それもそうですねえ・・・なんといっても幻想郷ではあの貧乏神社の印象が強いですから、つい。それにしても、ここからいったいどのような攻撃を繰り出してくるのか!?
そして星熊選手は・・・動きません!悠然と待ち構えています!”


紅組の巫女「こらー!あんたー!あんな金ぴかに負けんじゃないわよー!今の内にぶん殴れー!」

勇儀「人間がどのような策を弄してこようとも、受けて立つのが鬼の矜持。受けきってやるよ」
阿求“さあ、白蓮選手、ここからどのような技を繰り出すのでしょうか!”

「一切有為法 如夢幻泡影 如露亦如電 應作如是観・・・」

阿求“あっ、白蓮選手、何か唱えました!”
霖之助“これは・・・金剛般若経の偈だね”
阿求“そして・・・白蓮選手の右手が、輝き始めましたっ!どんどん明るく・・・!”

(以下黒組ベンチ)
ぬえ「いけー!」
輝夜「尼公―――!」
てゐ「とどめを―――!」
魔理沙「撃て―――――!!」

妖夢&鈴仙「(何このシンクロ!?)」

“Namo bhagavate prajna-paramitaye om natadtita ilisi ilisi milisi milisi bhinayan bhinayan
namo bhagavate pradtyamprati iriti iriti miriti miriti suriti suriti usuri usuri bhuyuye bhuyuye svaha―――!!”

阿求“こ、これは・・・!!巨大な光る掌が、飛び出した―――っ!!”

勇儀「何・・・っ!!ぐっ、ぐ・・・ああああああっ―――!」
阿求“きょ、巨大な掌が、星熊選手を一掴みに!!星熊選手の抵抗をものともせず、一息に捕えてしまいましたっ!”
霖之助“彼女の力をものともしないとは、何という法力・・・!”
阿求“霖之助さん、これなんていう技なんです?”
霖之助“ええと、石破天驚・・・”

「南無・・・っ、三宝――――――――!!!」(*ヒートエンド的なノリで)
(大爆発)

阿求“ば、爆発――――――ッ!!”
霖之助“白蓮選手、あの状態からこの大技を出してくるとは・・・これはさしもの星熊選手も・・・!”
阿求“だ、大丈夫なのでしょうか!?”

白蓮「・・・・・・・っっ!!」
勇儀「・・・こんなにやられたのはいつ以来かね・・・つつっ・・・敬服したよ、尼さん。私の技を食らった後でなかったら、やられてただろうね」


阿求“・・・た、倒れない――!まだ立っています、星熊選手!”
霖之助“あれを食らって意識があるどころか立つとは、こちらの耐久力も恐ろしい・・・鬼だけあって人並み外れているのは当たり前だけど、それにしても規格外だね。
しかし、さすがに満身創痍だろう。ほとんど動けないんじゃないか”

勇儀「当たってるね。でも・・・“三歩”動ければ充分さ」

阿求“こ、今度は・・・星熊選手の周囲から恐ろしい気が発散され始めました!これは・・・”
霖之助“「三歩必殺」を撃つつもりらしいね”
阿求“本当ですか!話には聞いたことがありますが実際に目にするのは・・・これはぜひ記録しないと。楽しみです!”
霖之助“個人的欲求がだだ漏れだよ”
阿求“し、失礼。し、しかし、この限られたリング上では、逃げ場がないのではないでしょうか!?場外はたとえ空中であろうが即失格です!”
霖之助“これは弾幕戦ではないから、完全発動前、つまり三歩歩く前に打撃を与えれば外せるだろう”
阿求“そうですね。「巨大怪獣出現!3発なぐって怪獣を倒せ!」的ノリですね。しかし・・・白蓮選手、う、動けません!”
霖之助“どうやら、今の大技で体力をほぼ使い果たしてしまったようだね。万全な状態で撃てば星熊選手もKOできていただろうが、星熊選手の技を食らった後ではもうひとつ威力が加わらなかったんだろう”

勇儀「私が三歩歩く前に一発でも私を殴れれば勝負は決まるよ。逃げ場はないから、どのみち私に向かってくるしかない。さあ、来な・・・」
白蓮「・・・・・・」

阿求“星熊選手、一歩踏み出した―――!白蓮選手、このままみすみす「三歩必殺」を食らってしまうのか!それとも、何かまだ奥の手があるのか!?”

阿求“さあ三歩目!白蓮選手、一撃を加えられるか・・・”
霖之助“だめだ、届かない!”

勇儀「・・・三歩!!」

ド ン
阿求“三歩必殺きた―――――ぅぷ!凄まじい衝撃がここまで!”
霖之助“これを至近距離から食らったら・・・”

勇儀「はぁ・・・はぁ・・・、なにっ!!?!?!!」
白蓮「Namah samanta-buddhanam prthivyai svaha...」

阿求“な、なんと、白蓮選手、立っています!?なにかを唱えていますが・・・」
霖之助“あれは地天真言!”
阿求“なるほど、堅牢地天の加持で己が身を堅牢不壊にしたというわけですか!攻撃ができないので防御に切り替えたというわけですね!”
霖之助“いや、防御だけではない。この状態では、体当たりでも絶大な攻撃になるよ”

白蓮「このままあなたに体当たりして、そのまま押さえ込ませていただきます」
勇儀「ふっ、考えたな。しかしそのふらふらの状況でぶつかってこられても効くかどうか」
白蓮「(くすり)はっきり否定はされないのですね?」
勇儀「ぎくっ(しまったー、つい曖昧な物言いをしてしまったー)」
白蓮「あなたも相当きているとお見受けしました。これで勝負です!」

ド モ ン

阿求“いったー!白蓮選手、星熊選手に、ぶちかました―――っ!!”
霖之助“その衝撃で星熊選手の服がッ!”
阿求“これは最後の最後で逆て・・・!?”

勇儀「な・・・め・・・る・・・な――――――!!!」
白蓮「!!」

阿求“うわっ!星熊選手、倒れない!そして白蓮選手を掴んで、持ち上げる!これはえーと”
霖之助“ブレーンバスターの体勢だ。鬼の底力だね。このまま後方あるいは垂直に叩きつければKO必至だろう”
阿求“さ、再逆転!星熊選手、そのまま――”


グヮラグワラ・・・!

勇儀「え・・・?」
阿求“あああ・・・!!リ、リングの土台が崩壊した―――!?”
霖之助“ぶっちゃけ土俵にシートを掛けただけだからね・・・これだけやったら崩れても仕方がないだろう”
阿求“星熊選手も足をすくわれてそのまま倒れて・・・あー、頭を打っちゃったみたいです。
白蓮選手も・・・もう起き上がる気力はないようですね、二人とも動けません!これはダブルノックアウト・・・?”
霖之助“どういう判定になるんだろう・・・審判長が出てきたね”

四季映姫・ヤマザナドゥ(審判長)「この試合はWKOで勝者なし、本来であれば無効試合ですが、これは決勝戦でもあり、
ここまでの死闘を鑑みて、引き分けで両者優勝とします」

阿求“引き分け両者優勝です!場内から大きな拍手が沸き起こり、両者の健闘をたたえます・・・
でも二人とも結構危ない恰好なので、早く救護班を呼んだほうが”
霖之助“ボランティアの男性救護班組がもの凄い勢いですっ飛んできたよ”
阿求“下心丸出しですね。さて次は応援合戦。紅・黒同時優勝で少し水をあけられてしまった青組はここで挽回したいところです”



実況席のあっきゅん。







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